今日勉強したこと24生命倫理

こんにちは、すのーです!

では早速内容に入っていきましょう。

医療資源の再分配と感染症

人類と感染症との闘い

ペスト

14 世紀に蔓延したペストは世界全体で 7,500 万人から 2 億人の死者を出していました。

当時 8,000 万人だったヨーロッパ人口のうち、実に 60% が命を落としました。
教会では疫病は神が下した罰とみなされていました。
食い止めることは出来ませんでした。
封建社会のほころびが「加速」し、「露呈」しました。

スペイン風邪
1918年から1920 年にかけ全世界的に大流行したH1N1 亜型インフルエンザです。
全世界で 5 億人が感染、 (世界人口 18 億-19 億のおよそ 27%)。

死亡者数は 5,000 万 ~1 億人以上( 第一次世界大戦の戦死者は 1000 万人)
兵士が運び屋でした。
1918 年は第一次世界大戦中であり、世界で情報が検閲されていた中でスペインは中立国でした。

なので戦時の情報統制下になく、感染症による被害が自由に報道されていたのでスペイン風邪という名前入になりました。

スペインから出てきた風邪というわけではありません。

感染症と公衆衛生

医療資源の再分配

PCR検査や救急医療体制(人工呼吸器や意思決定支援など)、ワクチンなど医療資源の再分配が問題になっています。

感染症の拡大を防ぐことと、個人の権利を制限することも問題になっています。

個人情報や経済活動、家族の面会の制限、看取りの場、緩和ケアなどです。

パンデミック下での医療従事者の責務とメンタルヘルスも問題になっています。

臨床試験の倫理も問題です。

医療の4原則とトリアージについては過去記事で言及しました。

今日勉強したこと16生命倫理 - 都内医学部生の日々の勉強記録(とな日々)

今日勉強したこと17生命倫理 - 都内医学部生の日々の勉強記録(とな日々)

 医療の4原則(Beachamp&Childress)は以下です。

・自律尊重原則(respect of autonomy)

・恩恵原則(beneficence)

・無危害原則(nonmaleficence)

・正義原則(justice)

トリアージとは一時に多数の負傷者が出たときに、負傷者を選別して搬送と治療の優先順位を決めることです。

赤 緊急治療
黄 入院治療が必要だが、2-3時間程度の余裕がある
緑 軽度の外傷。現場での処置終了後の搬送で可
黒 死亡または明らかに生存の可能性がない

適切なトリアージには高度な技能が必要です。

担当者の精神的負担は大きいです。

今年の 3 月 6 日にイタリア麻酔鎮痛集中治療学会(SIAATI Societ`a Italiana di Anestesia Analgesia Rianimazione e Terapia Intensiva )ワーキンググループは、臨床倫理指針として 『 資源が限られた例外的な状況下での集中治療の配分に関する臨床倫理上の勧告 』を公表し、そこでは特 に患者の年齢やその余命を重視するトリアージ基準が示されました。

Persadの資源配分ルール


1.treating people equally 人々を平等に扱う
2.favoring the worst off 最も困っている人を優先する
3.maximizing total benefit 全体の 利益を最大化する
4.promoting and rewarding social usefulness社会的な有用性を増進しそれに報いる

COVID感染拡大に伴う医療資源が不足時における倫理的 な指針はアメリカではこうです。
•得られる利益 の最大化( Receives the highest priority)
最も多くの人 を救う( Save the most lives)
最も多くの命 X これから生きる年数(Save the most life years)
•対象者を平等 に扱う (Treat people equally)
最初に来た人  (First come, first served)という考え方もあるが、あくまで重症度で考えます。
同じような予後であれば無作為化します。

•道具的・手段的価値(他者への貢献度)
医療者・・・他の条件が同じであれば優先する
•最も何かが不足する者を優先
最も重症な人・・・最大限のベネフィットがあれば
若者・・・感染拡大防止にに有用であれば

ドイツの効率性基準は以下です。

Lubbeにると、最大化基準によれば年齢だけではなく治療による生存の可能性を含めて計算されなければならないというものです。
例えば 60 歳男性(平均余命 20 年とする)で治療しなければ確実に死亡 する(その場合の生存可能性 0 %)が治療すれば生存の可能性が 70 %の患者に、 集中治療リソースを投入した場合の余命増加分は計算上 14 年( 20年の 70 %)となるという感じです。

ICU への収容について優先順位をつける基準は「肺機能の低下、臓器不全、 敗血症、免疫不全、基礎疾患の重篤度など、客観的な尺度を用い」よう 求めており、年齢、国籍、生命の価値などの基準を用いることを禁じている。

ロッコ問題

ロッコ問題も紹介しました。

今日勉強したこと17生命倫理 - 都内医学部生の日々の勉強記録(とな日々)

ブレーキの壊れた1台のトロッコが、分岐した線路の上を走っています。

線路の行く手には5人が、分岐した側線には1人がいます。

ロッコは放置すれば加速を続け、前方の5人に衝突し、全員が死亡します。
分岐器を切り替えれば、トロッコは側線に突っ込み、やはり犠牲は避けられないが犠牲者は1人になります。

という問題です。

以下のような状況もロッコ問題の内ですね。

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 23の国と地域に住む数百万人の人々から10の言語で4000万件
の意思決定を解析したものがあります。

結果はこうでした。

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まとめていくと、3つのクラスターに分かれたそうです。

•西洋クラスタ:北米と、プロテスタントカトリック・正統派のキリスト教文化圏であるヨーロッパ諸国。
•東洋クラスタ儒教文化圏に属する日本や台湾などの極東の国々や、インドネシアパキスタンサウジアラビアなどのイスラム圏の国。
•南洋クラスタ中南米ラテンアメリカ諸国と、フランスの影響を一部受けている国(フランス首都圏、フランス海外領土、かつてフランスの支配下にあった領土など)で構成

3つのクラスターはこんなかんじになります。

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西洋クラスタは事態への介入を避ける 成り行きを尊重します。
東洋クラスタは救える人の数、合法的な行動をとる人、老人は尊重され男女は平等です。
南洋クラスタは社会的な地位の高い人、若者、女性が尊重されます。

他のクラスターに比べて、健康な人を尊重します。

人の間の倫理とその構造も過去記事で紹介しました。

今日勉強したこと16生命倫理 - 都内医学部生の日々の勉強記録(とな日々)

倫理には2つの見方があります。

1つは人それぞれという見方です。

・相手と私は異なる

・平和共存を目指す

・相互不干渉、不侵害

という見方です。

もう1つは皆一緒という見方です。

・相手と私は同じ

・協議し助け合おう

という見方です。

 何が正しいのかはわかりませんね。

このような中で頑張っていると、燃え尽きてしまったりします。

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気持ちが疲弊してくると、だんだん共感できなくなってくるのです。

医療ミスも増えます。

パンデミック下における医療従事者の負担

医療従事者のメンタルヘルスはこんな感じになります。

医師看護師の燃え尽きや抑うつの頻度は高いです。
燃え尽きたり抑うつ的になると他者に対する共感性が低下してきます。
メンタルサポートは以下のような感じで進めていきましょう。

1,セルフモニタリング

ストレスチェックなどで自分の状態を把握する。

2,セルフケア

ストレス対処やリラックス方法などを日常生活に取り入れる。

3,専門家への相談

メンタルヘルスの専門家に相談できるようにしておく。

ドイツではこんなことを発表しています。

「 医師たちはいわゆるトリアージ状況において法的安定性を必要としている。

国家と法は、治療を義務づけられれた医師たちを救うために、個人的良心に 基づく決定のみ に委ね、完全な倫理的責任と 包括的な負責の リ スクを背負わせてはならない。」

生命維持治療の差し控えと中止

COVID19 の感染爆発時における人工呼吸器の配分を判断するプロセスについての提言では以下のことが書いてあります。
•人工呼吸器装着についての本人の意向の確認 
COVID19 による肺炎を発症しているすべての患者に対して、容体が悪化して人 工呼吸器の装着が必要になった場合に備えて、 人工呼吸器の装着に対する意向と本人の意思決定する力が低下したさいに自らの 意思を推定する人について、あらかじめ確認しておくことが望ましい。

ACPについて過去記事で触れたことがあります。

今日勉強したこと20生命倫理 - 都内医学部生の日々の勉強記録(とな日々)

自分が意思決定表示ができなくなったときのために、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)があります。

今後の治療・療養について患者・家族と医療従事者
があらかじめ話し合う自発的な プロセス です。

ACPの内容は以下です。

・患者本人の気がかりや意向

・患者の価値観や目標

・病状や予後の理解

・治療や療養に関する意向や選好、その提供体制

将来の意思決定能力の低下に備えて、医療行為への意向について書類や口頭で事前に意思表示をするリビング・ウィルなどのアドバンス・ディレクティブに対し、 ACP は話し合いのプロセスを通して患者の価値観を理解することに重点が置かれています。

 COVID19 の感染爆発時における人工呼吸器の配分を判断するプロセスについての提言ではこのように書かれています。

•救命の可能性がきわめて低い状況における人工呼吸器の取り外し
人工呼吸器を用いた集中治療をつくしても救命の可能性がきわめて低い状況になった場合には、人工呼吸器を取り外すことを基本とする。
医療・ケアチームとして判断を行うことが困難な場合には、倫理コンサルテーション等を活用するなど、 医療・ケアチームの外部に支援を求める。

人工呼吸器を取り外す場合には、本人の同意(本人の事前の意思表示や家族等による意思の推定を含む)があることが望ましい。
非常時に、明らかに救命の可能 性がきわめて低い治療を、本人や家族等の拒否を唯一の理由に継続することを許容するか否かは、それぞれの病院において事前にポリシーを策定し、一貫した判断を行うべきである。

カレン・クインラン事件もまた出てきました。

生命維持治療の差し控えと中止が異なる医療行為に見えるのには以下の理由があります。

・生命維持治療によって生じる利益と損失
・損失を回避したい(損失回避バイアス)
・大きな変化を避けたい(現状維持バイアス
・生命維持治療を手放したくない(保有効果)
・患者の死は「選択」か「運命」か(不作為バイアス)

法制化されている国も少なくないです。

生命維持治療の差し控えと中止という異なる医療行為が同じものとして考えられています。

医療者が生命維持治療を中止することを躊躇する要因として「違法性を問われる恐れが」が挙げられますが、実際この 10 年以上警察の介入は行われていません

感染症の拡大を防ぐことと個人の権利を制限すること

感染症は以下のように推移していきます。

第一の感染症:生物学的感染症
ウイルスによって引き起こされる疾病。
第二の感染症心理的感染症感染に対する不安や恐怖。
第三の感染症:社会的感染症不安や恐怖から生じる差別や偏見。

パンデミック化における隔離の影響は以下のようです。

強制的な隔離は感染拡大に有効でありますが、隔離下の人びとに大きな精神的な負担をもたらします。
自殺、怒り、強制的な隔離に対する訴訟が起きたりします。

欲求不満と退屈が発生したりします。

感染への恐怖もあります。

10日以上の隔離はPTSD症状と関連してくるそうです。

不適切な供給、不適切な情報も問題になっています。

経済的な問題も起きます。

偏見という問題もあります。

回避症状(患者さんとの接触を最低限にする、公共の場を避ける)が起きたりします。

精神的な負担を和らげるために以下のことが大切です。

・出来るだけ隔離期間を短くする
・出来るだけ情報を提供する
・必要なものを適切に供給する
・電話や onlineなどで、孤立感を出来るだけ軽減する

精神障害への影響もあります。

ただでさえ孤立しがちな精神障害を抱える人の家族は、より一層孤立状態に置かれることになってしまいました。

公衆衛生施策の倫理的妥当性が問われるようになります。

Childress
有効性:感染拡大の目的達成のために有効か?
均衡性:利益が侵害される諸価値に勝っていること
必要性:不可欠であり他の方法ないこと
最低限の侵害:諸価値の侵害が最低限であること

今日学んだことは以上になります!

書いた内容がなにかしら助けになれば幸いです。

何か間違いがあれば指摘していただければありがたいです。