今日勉強したこと17生命倫理

こんにちは、すのーです!

医師の責務と裁量権

医療の4原則(Beachamp&Childress)

医療の4原則については前回書きました。

今日勉強したこと16生命倫理 - 都内医学部生の日々の勉強記録(とな日々)

・自律尊重原則(respect of autonomy)

・恩恵原則(beneficence)

・無危害原則(nonmaleficence)

・正義原則(justice)

医師にはこの4原則を現実化できる能力を形成・保持するよう努力する責務があります。

自律尊重原則

自己決定を尊重します。

責務には二種類あります。

・消極的責務

・積極的責務

消極的責務は、自律的な人の意思決定は尊重すべきであるというものです。

インフォームド・コンセントも含まれます。

積極的責務治療上の決定をするために必要な情報を開示、自律的な決定を促進することです。

意思決定支援:アドベンスドケアプランニングが含まれます。

私達の時代には、積極的責務が大事になってくるのかもしれません。

恩恵原則(beneficence 善行原則、仁恵原則)

患者の利益のために行為するべきであるという原則です。

医療行為は患者の健康を増進するために行うものであり、それ以外の目的であってはいけません。

この原則は、最善の結果をもたらすために、利益と害悪を比較考量することを含んでいます。

手術によって臓器などを失うこともありますからね。

無危害原則

患者の害になる行為をしてはならないという原則です。

「危害を引き起こすのを避けるという規範」あるいは「害悪や危害を及ぼすべきではない」ことであると定義されます。

医療者が治療行為を行うにあたり、患者にできるだけ痛みや苦痛を与えないように配慮することや、合併症や副作用を可能な限り避けるように配慮しなければならないのは、この無危害原則によるものです。

正義原則

医療における正義とはすべての患者に公平、公正な医療を行うことを意味しています。

年齢、性別、人種、社会的な地位などに関わりません。

医療資源をどのように配分するかが悩みのタネになります。

Profession

複雑な知識体系への精通、及び熟練した技能の上に成り立つ労働を核とする職業です。

自分以外の他者への奉仕に用いられます。

公益増進に対して全力で貢献する意志を社会と公約するということです。

医学部に入った時点でこの約束をしたことになりますね。

医師の仕事は、臨床・研究・教育です。

専門職を特徴づける態度には3種類あります。

・公益性

・道徳性

・専門性

公益性は、仕事を単なるお金儲けの手段とみなさないことです。

個人的な出世より、仕事の質に大きな関心を抱くことも大切です。

仕事を社会に対して有益な貢献をなすものとしてみなします。

道徳性は、仕事に関する道徳的な責務を重視します。

一連の専門職的な美徳を陶治しようとします。

専門性は専門的な能力を重視します。

仕事をより良いものにするための方法を常に模索します。

使命としての医療があります。

「医療はアートであり、取引ではない。使命であって商売ではない。

その使命を全うする中で,あなたはその心を頭と同じくらい使うことになる。」

とオスラーは言っています。

医師の基本的責務は以下の3つです。

・医学知識・技術の習得

・教養・品性の陶冶と保持

・医学研究への貢献

社会契約

医師の養成には膨大な社会費用が必要です。

これには国民の税金が使われています。

医師になった者はそれに応える責務があるのです。

社会と無書面の契約を結んでいるという感じです。

患者の福利の優先(恩恵原則・無危害原則)をするべきです。

また、患者の自己決定の尊重(自律尊重原則)も重視します。

公平・公正な医療(正義原則)も行ないます。

これらを実践するために医師に「自律性」と「裁量権が与えられているのです。

医師の仕事には例えば以下のようなものがあります。

• 診断・治療・予防ための業務
• 診断書・検案書の交付
• 異状死体の届出
• 処方箋の交付
• 保健指導を行う
• 診療録の記載・保存
• 無診療治療の禁止

診療録の記載及び保存(第24条)

医師は診療をしたときは遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければいけません。

医療安全上の問題が生じた場合、診療録の記載の有無やその内容が重要視されることも多いです。

忙しいから週末にまとめて診療録を記載すると言ったことはしてはいけないのですね。

診療録は、5年間保存しなければいけません。

勤務医の診療録については、病院または診療所の管理者が保存し、それ以外の診療録については、医師本人が保存します。

診療報酬請求の根拠は診療録にあります。

カルテは公文書なのですね。

診断書 検案書などの交付

診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければこれを拒んではいけません
診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会った医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証明書の交付の求があった場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではいけません。

無診察治療等の禁止(第20条)

医師は、自ら診察しないで治療をし、診断書もしくは処方せんを交付しては いけません。

保険診療としても当然認められません
無診察治療とは、例えば定期的に通院する慢性疾患の患者に対し、診察を行わず処方箋の交付のみをすることです。

実際には診察を行っていても、診療録に診察に関する記載が全くない場合や、「薬のみ」等の記載しかない場合には、後に第三者から見て無診察治療が疑われかねないです。

このようなことを避けるためにも診療録は十分記載する必要があります。

免許の相対的欠格事由(第4条)

次のいずれかに該当する者には免許を与えないことがあると書いてあります。
• 一 心身の障害により医師の業務を適正に行うことができない者
• 二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
• 三 罰金以上の刑に処せられた者
• 四 医事に関し犯罪又は不正の行為のあった者
免許の取消、医業の停止(第 7 条第 2 項)

医師が免許の相対的欠格事由のいずれかに該当し、又は医師としての品位を損するような行為があったときは次の処分をすることができると書いてあります。
• 一戒告
• 二 3 年以内の医業の停止
• 三 免許の取消し

処方箋の交付義務(第22条)

医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者又は現にその看護に当たっている者に対して処方せんを交付しなければならない。

医師の自律性と裁量権

患者の自己決定の尊重(自律尊重原則)は具体的には IC の形で行われます。

臨床では、すべての医療行為を一つ一つ患者に確認することが現実的ではないですね。
なので、医師には一定の裁量権があるとされます。
患者の同意が得られた範囲内で治療を選択する裁量権があるのです。

医師の裁量権と注意義務

医師は義務と責任を負う自律的な主体として医療水準と注意義務の範囲内で治療法等を選択する裁量権を持ちます。
要求される医療水準はその時代の医学の常識や勤務する医療施設によって異なってきます。

医師の裁量権と患者の自己決定権

「医師の裁量権」と、「患者の自己決定権と説明を受ける権利」が対立することがあります。

治療がうまく進まなかった時、しばしば事後的に問題が浮上します。
最悪の場合、医療訴訟になることがあります。

カンダベリー判決(1972)

椎弓切除の手術後、安静中ベッドから落ちて下半身麻痺になった事例です。

再手術するも後遺症を抱えることになったそうです。

手術での過失、リスク情報不開示、看護体制の不備などを理由に告訴したという事件です。
医師による情報開示の範囲について、専門家基準を批判されました。

患者の視点を考慮した合理的基準を提唱した判決です。

転落や転倒による骨折を理由とする訴訟は今も少なくないそうです。
状況に応じた説明を行う能力が必要になってきます。

応召義務

医師法第19条に書いてあります。
診療に従事する医師は、正当な事由がなければ患者からの診療の求めを拒んではならないとされています。

「正当な事由」のある場合とは、医師の不在又は病気等により事実上診療が不可能な場合に限られると解されます。

医師には治療目標に直接反するような行動を取りつづける人を治療する義務はないです。

医師の言うことはきちんと聞くべきですね。
しかし、ノンコンプライアンスの背景に何があるかを検討する必要があります。

応召義務は,医師が医療施設で診察をする場合のものであるため、乗客である医師が機内ドクターコールを無視しても応召義務違反にはならないです。

まあそれでもなるべく応じたいです。

機内ドクターコールに応じたときの責任はどうなるのでしょうか?

病院での診療行為なら過失だとしても,航空機内には医療施設ではないので、できることは限られており,しかも緊急の状況であり,医師に求められる注意義務は軽減されるそうです。
刑事責任が問われることはまずないです。
民事責任については,民法698条(緊急事務管理)に「管理者は,本人の身体,名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは,悪意又は重大な過失があるのでなければ,これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。」と書いてあります。
ただ訴訟のリスクはゼロではないです。

良きサマリア人の法という法があります。

災難に遭ったり急病になったりした人など(窮地の人)を救うために無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、たとえ失敗してもその結果につき責任を問われない」という趣旨の法です。
誤った対応をして訴えられたり処罰を受ける恐れをなくして、その場に居合わせた人による傷病者の救護者の合理的な救護行為を法的に保護し、またそのような救護を促進しよう、との意図があります。
アメリカ、カナダ、オーストラリアなどで施行されており、近年、日本でも立法化すべきか否かという議論がなされています。

守秘義務

ヒポクラテスの時代から医師の責務の一つになっています。
刑法134条に書いてあります。
仕事の上で知りえた患者の情報を漏らすことがあってはならないという責務です。

タラソフ事件

大学内診療所でAから精神療法を受けていたBが、面接中自分との交際を断ったCの殺害をほのめかしました。

Aの通報を受けた学内警察はBを保護したが、さしせまっていないと判断し拘留せず、Cの家族へ知らせませんでした。

Aの上司も守秘義務を理由にこれを支持しました。
二ヵ月後、BはCを殺害。Cの両親は大学とAを訴えました。
カリフォルニア州裁判所は二度にわたって判決を出し(1974、1976)、両親の訴えを認めました。

リスク管理については、実際にプライヴァシーの侵害が生じなくてもリスクを犯すこと自体が誤りとされます。

子供の虐待について

医師には早期発見の努力義務が課されています。
確証が無くても疑った段階で通告する義務があるのです。
守秘義務が通告する義務を遵守することの妨げになってはいけません
「通告をした者を特定させるものを漏らしてはならない」と定めてい
ます。
医療機関の場合には、通告者を秘匿することで虐待対応が困難になることのほうが多いです。
通告した後でも、その旨を医師から親に告知する方がよいと考えられるときには、積極的に告知します。
通告は親を罰するもので はなく、子どもの安全を守ることであり、虐待者も支援を受けることであるということを意識しておくことが必要です。
告知に当たっては出来るだけ複数で行うとよいそうです。

高齢者の虐待

児童虐待に比べて虐待を受ける高齢者が家庭の中に閉じこもりがちであったり、虐待する側だけでなく、虐待される側も虐待の事実を隠す傾向が強いため外からは分からない特徴があります。
高齢者虐待防止法が 2006(平成18)年4月から施行され、法的に虐待の定義が示されるとともに、養介護施設従事者などに通報義務が課されました。
虐待であるかどうかの判断は、行政や地域包括支援センターなどの公的な機関が、情報収集や事実確認をした上で行います。

相談・通報段階で虐待であるかどうかの判断は必要ないです。

また、後になって、虐待でないことがわかったとしても、相談・ 通報者は責任を持ちません

高齢者の虐待は以下のような原因が考えられます。

• 介護者の介護負担によるストレス、
• 虐待する人、される人の人間関係など家族間の確執、
• 介護者の病気、経済的理由など生活上の問題点、 精神的問題点。

特に介護者の介護負担によるストレス核家族化、少子高齢化など現在の状況を反映して、原因として重要となっています

トリアージ(triage)

一時に多数の負傷者が出たときに、負傷者を選別して搬送と治療の優先順位を決めることです。

赤 緊急治療
黄 入院治療が必要だが、2-3時間程度の余裕がある
緑 軽度の外傷。現場での処置終了後の搬送で可
黒 死亡または明らかに生存の可能性がない
適切なトリアージには高度な技能が必要になってきます。
担当者の精神的負担は大きいです。

ロッコ問題

ロッコ問題は有名ですね。

ロッコ問題の内容はこんな感じです。

ブレーキの壊れた1台のトロッコが、分岐した線路の上を走っています。

線路の行く手には5人が、分岐した側線には1人がいます。

ロッコは放置すれば加速を続け、前方の5人に衝突し、全員が死亡します。
分岐器を切り替えれば、トロッコは側線に突っ込み、やはり犠牲は避けられないが犠牲者は1人になります。

という問題です。

自動運転の分野で活発に考えられている問題ですが、医療の分野でも出てきます。

今日学んだことは以上になります!

書いた内容がなにかしら助けになれば幸いです。

何か間違いがあれば指摘していただければありがたいです。